本町
かつて倉敷のメインストリートだった町
本町は昔、倉敷の町の中心街として栄えていました。
倉敷川畔の北側、鶴形山の南のふもとを東西に通る道筋は「本町通り」です。もともとは倉敷の町と早島を結ぶ街道でした。かつては倉敷のメインストリートの繁華街として栄えたエリアです。西は倉敷本通り、東は東町通りへと続いています。
現在も古い町家などの建物が残り、町家を改装したカフェ・居酒屋などの飲食店、ギャラリーなどが並んでおり、観光客に人気です。また10月中旬には「倉敷屏風祭」がおこなわれます。
かつて倉敷初の洋風建築として建てられた旧倉敷銀行であった新児島館(仮称)や、美観地区現存唯一の酒蔵・森田酒造など、見どころも多数。
また本町通りの中央あたりから南に分岐し、倉敷アイビースクエア方面に向かう道筋は「記念日通り」です。
倉敷市で「記念日をすごすまち 倉敷」をテーマとした観光推進事業を官民一体となっておこなってきました。そのため平成25年(2013年)に、日本記念日協会から全国初の「記念日の聖地」として認定されています。
平成27年(2015年)4月には「記念日をすごすまち 倉敷」の知名度向上と通りの活性化を目指し、通りの通称を「記念日通り」としました。通りには飲食店や雑貨店、土産物店などが並んでいます。
ピックアップ
新児島館(仮称)
新児島館(仮称)は、本町通りの西端のほうにあります。建物は、ルネサンス調の円柱やステンドグラスを配置した古い西洋建築で、倉敷市指定重要文化財です。
もともと大正11年(1922年)に倉敷銀行として設立されました。大原美術館本館や有隣荘を設計した薬師寺主計(やくしじ かずえ)が設計した、倉敷で初の本格西洋建築です。
その後は第一合同銀行 倉敷支店を経て、平成28年(2016年)まで中国銀行の倉敷本町出張所として使用されていましたが、令和3年(2021年)に新児島館(仮称)としてリノベーションされました。
森田酒造
森田酒造は本町通りの中央あたりにある、美観地区で現存唯一の酒蔵です。阿智神社の東参道口の向かい側にあります。昔ながらの製法にこだわった日本酒造りで、「萬年雪」の銘柄で有名です。
西隣には蔵を改装した食品のセレクトショップ「おいしいものブティック 平翠軒」もあります。
本栄寺
本栄寺(ほんえいじ)は、鶴形山の南のふもとの小高い場所にある日蓮宗の寺です。もともとは足高山(倉敷市笹沖)の南あたりにありましたが、江戸時代初期に倉敷の町へ移りました。
現在の本堂は、江戸時代中期の宝暦14年(1764年ごろ)に建てられたものです。
倉敷アイビースクエア(旧 倉敷紡績・倉敷代官所)
倉敷アイビースクエアは、倉敷紡績(クラボウ)の旧本社工場を改装してできた複合施設です。施設内にはホテルやレストラン、体験工房、資料館、土産物店などがあります。
江戸時代に現在の倉敷市中心部は、江戸幕府の直轄地でした。アイビースクエアの土地は、幕府から派遣された代官が職務をおこなった倉敷代官所があった場所です。
明治22年(1889年)に倉敷代官所の跡地に、倉敷紡績が設立されます。倉敷本社工場は戦後長らく休止工場となっていましたが、昭和48年(1973年)に倉敷アイビースクエアとして、再開発されました。ツタ(アイビー)がからまる赤いレンガの外壁が印象的なため「アイビースクエア」と命名されています。改築を設計したのは、建築家の浦辺鎮太郎です。
平成19年(2007年)に経済産業省より「近代化産業遺産」に認定され、平成29年(2017年)には文化庁より「日本遺産」構成文化財の一つとして認定されました。アイビースクエアは「宿泊できる文化遺産」として注目のスポットです。