大橋家住宅
江戸時代の生活に思いを馳せる、国指定重要文化財の倉敷町屋
大橋家住宅は、倉敷町屋の典型が見られる町家建築。江戸時代後期に、大原家とともに「新禄」と呼ばれる新興勢力を形成していた、大橋家の邸宅です。1978年に主屋・長屋門・米蔵・内倉の4棟が国の重要文化財に指定され、最も屋敷構えが整っていた1851年の姿に復元されました。14部屋が公開されており、威厳のある建築からは往時の隆盛がうかがえます。
スタッフが「明治以前の日本家屋での暮らしを感じてほしい」と語るとおり、生活の気配を感じられるようなしつらえが特徴。建物を眺めるだけでなく、部屋にあがって過ごせます。夏は軽やかな風鈴の音に耳を澄ませ、冬は縁側で日光を浴び、目で耳で肌で昔の暮らしに思いを巡らせながら、心ゆくまでくつろげるでしょう。
雨の日に露に濡れた庭を眺めたり、暑い時期に風が通る館内で涼んだり。旅のさなかに少しゆっくりしたいときに立ち寄るのにも、最適です。いくつかある庭は丁寧に手入れされ、おもてなしの心が行き届いています。結婚式やイベント会場としても利用され、市民が集う場としても愛されている大橋家住宅。格式高くも、心安らぐ空間です。
竣工:1796年(寛政8年)
ピックアップ
花のしつらえ
大橋家住宅を見学していると、さりげなく飾られた植物に目が向くかもしれません。床の間の花器に生けられた季節の花、軒下の倉敷格子に小さく飾られた草木、炊事や作業の空間を彩る小さな一輪挿し――これらの花々は、庭や山に咲いていたものをスタッフが飾っているそうです。柔らかな障子越しの光のなかで、床の間に飾られた花を眺めていると、昔の人たちの豊かな暮らしを近くで感じられるかのようです。昔の人たちも生活の中に美しい花を飾り、季節を身近に感じていたのでしょうか。暮らしを彩る花のしつらえを探してみてください。
書斎
大座敷を通り抜け、坪庭を挟んだ離れのような6畳の空間が書斎です。作業や寝食の部屋からは少しだけ離れ、落ち着いた空間のなかで、静かに書をしたためたり、書物を読んだりしていたことがうかがえます。机の上には、硯と和紙の書物が置かれており、ほんの少し前まで誰かがここで書き物をしていたかのようです。
倉敷町家の意匠
なまこ壁をはじめ、白壁に映える倉敷窓や、通りに面した町家に見られる倉敷格子など、倉敷町屋の特徴的な意匠を見ることができます。繊細で美しい造りの京都や、重厚な造りの飛騨高山と比べてみても面白いかもしれません。
インフォメーション
住所 |
岡山県倉敷市阿知3-21-31 |
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アクセス |
JR山陽本線 倉敷駅から徒歩約10分 |
TEL |
086-422-0007 |
公式HP | |
開館時間 |
9:00~17:00 |
休館日 |
12月・1月・2月の金曜(3月~11月は休館日なし) |
料金 |
一般:550円 |