新児島館(仮称)
100年前の銀行建築が美術館に、期間限定スタイルで暫定開館
大原美術館の新館「新児島館(仮称)」が、2021年10月に暫定開館しました。大正時代に建てられたルネサンス様式の銀行建築を改装し、展示室・ミュージアムショップ・会議室や研究機関機能を備えています。
倉敷市指定重要文化財でもある建物は、重厚感ある大きな付柱と、ドーム型のステンドグラス窓が特徴的。中に入ると、吹き抜けの広い空間が広がります。銀行窓口のカウンターや金庫は当時の姿をとどめており、銀行として愛されてきた建物の歴史を感じ取れることでしょう。壁と天井は漆喰塗りで、幾何学模様のレリーフが施されています。
期間限定で、現代美術作家ヤノベケンジさんの作品を設置。大きな少女像は、ときどき動く仕掛け付きです。
将来的には、大原美術館のコレクションの礎を築いた洋画家・児島虎次郎の作品と、エジプト・西アジア他の古美術品を展示する予定。本格開館後は入場料がかかりますが、当面は入館無料です。ふらっと気軽に足を運べます。
竣工:1922年(大正11年)
暫定開館:2021年(令和3年)
設計:薬師寺主計
ピックアップ
サン・シスター(リバース)
ヤノベケンジさんの作品《サン・シスター》は、破壊的な厄災から立ち上がろうとする人々に寄り添い、復興を見守る存在として制作されました。
東日本大震災を経た2014年にプロトタイプが制作され、2015年には阪神淡路大震災20年のパブリックモニュメントとして、兵庫県立美術館に設置されています。コロナ禍の倉敷に現れた本作《サン・シスター(リバース)》は、厄災の収束を願い、再生へと向かう世界に希望を告げようとしているかのようです。サブカルチャーの世界から飛び出したようなルックスが、未来の神話を想起させ、何世代にも紡がれる壮大な物語を感じさせます。
赤漆舟守縁起猫
銀行の金庫だったスペースを利用して展示されている、漆塗りのつややかな猫。ヤノベさんと京都の職人がコラボレーションした作品です。大航海時代、ネズミを駆除して船員を疫病から守る猫は、癒やしとして船の守り神として、大切にされていたといいます。猫にあしらわれたアマビエをはじめとする縁起の良いモチーフには、祈りが込められているのかもしれません。
ミュージアムショップ ポップアップショップ
大原美術館ミュージアムショップの期間限定店もオープン。新児島館(仮称)限定のTシャツや《サン・シスター》イラストをあしらったグッズも販売しています。倉敷のお土産にも。
インフォメーション
住所 |
岡山県倉敷市本町3-1 |
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アクセス |
JR山陽本線 倉敷駅から徒歩約10分 |
TEL |
086-422-0005 |
公式HP | |
開館時間 |
10:00~16:00 |
休館日 |
毎週月曜日(ただし祝日の場合は開館。7月下旬~8月は無休) |
料金 |
暫定開館中のみ無料 |