きび美ミュージアム
古代吉備から未来へ 吉備に恋する美術館
「くらしき宵待ちGARDEN」は、アートと食文化の融合をコンセプトとした複合施設です。その一画、竹のそよぐ音が心地よい庭園に佇む町家風の建物は、2021年4月に開館した「きび美ミュージアム」。吉備の郷土ゆかりの先人たちが遺したさまざまな文化財・美術作品を鑑賞することができます。
コレクションは、不動産会社を営み倉敷のまちづくりに積極的に関わってきた故・山田眞常(しんじょう)さんが一代で蒐集したもの。昭和30年前後より時間を見つけてはスクーター・ラビットで岡山県内を走り回り、遺跡、旧家を巡って眠れる文化財の発掘に情熱を傾けました。生涯をかけて吉備ゆかりの2,000点を超える文化財を蒐集したのです。
吉備にまつわる小作品が並ぶ小窓ギャラリーに誘われ、受付へ。1階は倉敷市酒津出土の弥生土器や、岡山市足守出土の円筒埴輪、上古刀、県重要文化財の太刀「宗貞」など、古代吉備の文化の奥深さを知ることができる「刀陶の間」。平安末期から現代に至る備前焼の流れも一覧できます。
2階は倉敷市連島 宝島寺の住持・寂厳(じゃくごん)、玉島円通寺で修行した良寛などの書作が並ぶ「翰墨の間」、倉敷出身の洋画家・寺松国太郎、河原修平のコレクションが並ぶ「有彩の間」から成ります。
吉備の美しい「モノ」達との時空を超えた出会いは、恋にも似て心がふるえます。
ピックアップ
1階 刀陶の間
1階 刀陶(とうとう)の間のテーマは「吉備の真髄と出会う」。
古代の土器、時代ごとの備前焼の優品、備前刀、備中刀などの吉備の文化財が漆黒の空間に浮かび上がります。
写真左端は、均整のとれたフォルムと国内最大級の大きさを誇る倉敷市酒津出土の弥生大壺。写真中央は岡山市足守出土の円筒埴輪。その装飾には古代吉備の先進性と国際性の秘密が隠されています。
2階 翰墨の間
2階 翰墨(かんぼく)の間のテーマは「詩思筆才」。
この展示室には、コレクター・山田眞常さんが雷に打たれたような感銘を受けたという、近世の四大書僧のひとり、寂厳の書作などを展示。ほか、玉島円通寺で修行を重ねた良寛、備中松山藩の儒者・山田方谷、岡山市・庭瀬が生家である犬養木堂(犬養毅)など、企画展ごとに違った書作や日本画が展示されます。
筆に込められたエネルギーや精神性まで伝わって来るようです。
2階 有彩の間
2階 有彩の間のテーマは「百花生ず 吉備彩描」。
「いずれは公開して欲しい」という遺族の願いに応じて譲り受けられた、寺松国太郎、木村丈夫、河原修平の遺作が並ぶ、2階 有彩の間。(写真は河原修平優品展)
絵画とともに、窓の外の竹林庭園にも癒されます。お好みのアンティークカップ&ソーサーを選んで珈琲や紅茶を楽しみながらくつろぐこともできる空間となっています。
(有彩の間のみ、写真撮影可)
きび美ホール・茶室「聴竹亭」
「きび美ホール」と別棟にある茶室「聴竹亭」は、文化的な活動にも使用できる空間です。
インフォメーション
住所 |
岡山県倉敷市中央1丁目4-22「くらしき宵待ち GARDEN」内 |
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アクセス |
JR山陽本線 倉敷駅から徒歩約15分 |
TEL |
086-425-8080 |
公式HP | |
開館時間 |
10:00〜18:00(最終入館17:30) |
休館日 |
月曜日・火曜日 |
料金 |
一般:700円 |