水島
工場と農業と史跡が交わる町
水島は倉敷市域の南部に位置しています。旧 倉敷市の南にあたるエリアです。かつて水島の西部は連島町、東部は福田町でした。また両地区のあいだを、市内の酒津付近で分岐した東高梁川が流れ、両地区はその河口部に位置していたのです。
大正14年(1925年)に東高梁川を廃川とする工事が完了。両地区のあいだに生まれた広大の廃川地は、新しい市街地として開発されます。さらに沖合は埋め立てられて大規模な水島臨海工業地帯が生まれました。
廃川地を開発した地域は「水島」と呼ばれるようになり、やがて連島・福田地区も含めて水島と呼ばれるようになったのです。さらに倉敷駅から廃川地を通り、工業地帯まで水島臨海鉄道も敷設されました。
水島の南部は西日本有数の工業地帯ですが、いっぽうで連島・福田の昔からの地区は米や野菜などの農業が盛んです。とくにレンコンやゴボウは名産地となっており、「連島レンコン」「連島ゴボウ」としてブランド化されています。ほかにショウガも名産です。
また連島地区には、史跡や歴史スポットも多いです。古い建物が建ち並ぶ町並などが残されており、古い寺社、古墳、連島出身の薄田泣菫の生家など見どころが多数。これらのエリアは「都羅の小径(つらのこみち)」と呼ばれ、史跡ゾーンとなっています。
ピックアップ
鷲羽山スカイライン水島展望台
鷲羽山公園線(通称 鷲羽山スカイライン)は、水島東部の福田地区から児島エリアにかけての山上を走る道路です。
途中の山上に設けられた水島展望台からは、眼下に水島臨海工業地帯と水島港、水島灘を望む大パノラマが楽しめます。遠方には、笠岡諸島の姿も。夜になると工業地帯の美しい夜景が見られ、県内を代表する工場夜景のスポットとして人気です。
ライフパーク倉敷科学センター
ライフパーク倉敷科学センターは、福田地区にある科学をテーマにした施設です。子供たちが科学のおもしろさを体験できる展示を、約100点設置しています。
展示の中でも人気なのが、プラネタリウムです。直径約21mのドーム型の宇宙劇場に満点の星空が映し出され、大迫力の全天周映画を楽しめます。ライフパーク倉敷科学センターは、好奇心旺盛な子供にはたまらない施設です。
諸国郷土玩具館
諸国郷土玩具館は、福田地区にある玩具をテーマにした博物館です。全国各地の郷土玩具を約5,000点も展示しています。展示された凧や土人形などの郷土玩具は、館長が40年以上かけて集めたものです。
展示室は「企画展示」「全国の凧と海外の凧」「こけし・木地玩具・全国の土鈴」「雛・天神・全国の郷土玩具・海外の玩具」の4室に分かれています。日本の伝統建築である双子の土蔵の建物にも注目です。
薄田泣菫生家
薄田泣菫(すすきだ きゅうきん)は、明治時代から昭和時代前期に詩人・随筆家として活躍しました。薄田は現在の連島地区の出身で、生家が現在も保存されています。泣菫は生まれてから少年時代までと、晩年期に亡くなるまでをこの家で過ごしました。
生家は一般公開され、当時の雰囲気がそのまま保存されています。また、泣菫にまつわる貴重な資料・展示物も展示。芥川龍之介や与謝野晶子など交友のあった文人の書簡もあります。
宝島寺
宝島寺(ほうとうじ)は、連島地区の矢上山の中腹にある寺です。平安時代前期の貞観元年(859年)に理源大師 聖宝(弘法大師の法孫)によって開かれました。源平合戦のときに、那須与一が放った矢が近くに漂着してきたという伝説があります。
本堂は、江戸時代の寛政10年に再建されました。ほかにも大師堂・十王堂・理源大師堂・鐘楼などがあります。菩薩仏頭は岡山県指定文化財です。平安時代作とされる二躯の天部立像は、倉敷市指定文化財になっています。
さらに仁王門は、倉敷市重要文化財です。室町時代の永禄年中の建立とされています。平成29年(2017年)に保存修理され、新しい丹塗りが施されました。
箆取神社
篦取神社(へらとり じんじゃ)は、連島地区の丘陵上に鎮座する神社です。創建は古く、詳細はわかっていません。かつては、海若宮と呼ばれていました。火難・盗難除け御利益があるとして、古くから参拝客が訪れています。
一帯は箆取公園として整備され、桜の名所としても有名です。丘陵上にあるので眺望がよく、工業地帯や水島灘を一望できます。